Office Matching Mole on the Web/週刊モグラ屋通信 14



 週刊 モグラ屋通信 第32号 2001.3/1  


内藤です。2月24、25の両日、『トヨタ・アートマネジメント講座 大阪セッション』に参加するため大阪へ。ギャラリーからアート・マネジメントへ、我々と経歴も似ている 加藤芸術計画室 の加藤さんも講師として登場。同業者の発言や動向には、いつもながらいろいろ触発され、励まされることよ……。あたらしい出会いもあり、充実した2日間でした。


さて、事務所の電話とファクシミリの番号を別にするため、我々も ISDN なるものにしたりする。1年半ものあいだ、両方の機能を果たしてくれていた 「SANYO テ・ブ・ラ コードるす」君は、今後はファクシミリ専用機になるのでした。とりあえずごくろうさん。というわけで、「なんでもいいから電話機を用意して」というNTTの人の指令により、市内のヤマダ電機で買い物ブギウギ。つつましさが身に染みついた内藤は、つい「広告の品」の SONY のコードレス留守番電話機「名のってる」子機1個つきを購入。税別9800円安い。安いのはいいんだけど、その店に置かれていた他の電話機をながめてみると、まぁ、なんというかほとんどオモチャですね。なんかこう、やたらパステル調だったり、i-Mac風だったりしてメルヘンなのですよ。40になんなんとする人間が使うには「絵的に無理がある」というワケ。昨今の風潮なのか、家電デザインは相当に女々しくなっているので私としては大いに不満でございました。もちろん、もっといろんなデザインのものが存在するのでありましょうし、もっと高額なオフィス向けのものもちゃんとあるに決まっているのですが、いわゆる「売れ筋」として「どんなところでも売っている」というのは、そのような傾向にあるようです。今回購入した SONY の「名のってる」は、名前がヘンなのを除けば、モノ自体は質実剛健でもないがメルヘンでもなく、まぁ普通。


コンピュータもしかりで、かれこれ7年ほどコンピュータを日常的に使用している私としては、なんだか女の子仕様としか思えない「かわいいデザイン」の氾濫にかなりうんざり。なんて言ってる不肖ワタクシも、その昔は「なんでコンピュータってオフィス仕様のだっさいのばっかなんだろう? もっとこうお洒落なデザインのはないのかしら?」って不満たらたらでした。だから6〜7年前にi-Macがあったら、買っていたしていたかもしれない。うん、たぶん買っていたに違いない (でも考えてみるとコンピュータの世界で6〜7年前っていうのは相当に昔と言えるかも。ちなみに当時は借り物でしたが Black NEXT を使用。もう若い人は誰も知らないコンピュータかも……) 。ただ、あの頃に私がイメージしていた「お洒落なデザインのコンピュータ」と「2001年現在店頭に並んでいコンピュータのデザイン」はずいぶん違うものになってしまいました。どのみち私のイメージ自体が大量消費社会に不適合なのかい? あの、「悪く言えばいかにも事務機的」、でも「ある面質実剛健」だった、まるで「ベージュの軽トラックみたいな」当時の普通のコンピュータが懐かしかったりするのは、すでにして私が中年だからなのかもしれないね。


これらの問題を解決するには、もっとお仕事して収入を増やして、「安い」を基準にモノを買うことと決別しなければならないようです。とはいえ、実際買う段になると、「安いモノ」と「ゴージャスなモノ」にすべては二極分化しているように感じてしまったりもします。なんかこう、もっと普通のモノを普通に買いたいと思うんですが、どうも世の中には絶えず「中間的存在」が欠落しているように思えてならないのは私だけ? いや、価格的には「中間的なもの」は存在するんだろうけど、気分的には「オモチャのミニカーと本物の戦車しかない」みたいな……。アートもある意味2001年風に玩具的になってはいまいか? そうでなければいきなり戦車みたいなの。とはいえ、もちろん中間的なものといっても中産階級と同じで本当は幻想で、でもやっぱり「リッチ・マンとプア・マン」の間に「オーディナリー・ピープル」が存在するってのも事実だし、そういう人たちの欲望は得てしてリッチ風かプア風のどちらかに吸収されていくのでしょう。でも「〜風」以外のものが欲しい。モノも、アートも。


現在進行形の仕事
『ジャズの街角 PartV−内田修ジャズコレクション−/アメリカンファッション 1940’s−1960’s』 (岡崎市美術博物館) 3月11日まで
『@port』(名古屋港ガーデン埠頭界隈:3月31日〜4月1日開催)



Top             Bottom



 週刊 モグラ屋通信 第33号 2001.3/15  


内藤です。1999年10月10日の事務所設立以来約一年半をへて、私たちの弱小事業所であるところのオフィス マッチング・モウルはなんとなんと法人化を決行、というより強行? 2001年3月5日、正式名称「 有限会社オフィスマッチングモウル 」として、あいかわらずたったふたりではありますが、会社組織になりました。ビジネスで取引する方々以外がこの名前を書類上使うことはあまりないかもしれませんが、とりあえず正式名称ということで発表させていただきます。


個人商店としてスタートした事務所を私たちが法人化しようと考えたのは、昨年 『トヨタ・アートマネジメント講座名古屋大会』 に事務局として関わったことがひとつのきっかけだったと考えています。そこで私たちは、アートに関わる団体の法人化について、はじめて真剣に考える機会を得ました。アートのことをずっと考えてきたけれど、今度はさらにマネジメントについて強く意識するようになったというわけです。TAMで語られた法人というのは、主にNPOで非営利団体についてでしたが、大学でもなく、美術館でもなく、画廊というアートビジネスの世界からアートの仕事をはじめた私たちの選択は、法人は法人でもNPOのような非営利目的ではなくビジネスを主眼とした有限会社という方法論です。その理由は、以前にも書きましたが「アートに関わる仕事が普通の職業同様、経済活動として成立しない限り、この国に芸術の根付く素地なんかできない」と考えるからです。その素地を私たちなりのやり方で築いていくための具体的な事柄に関しては、今後の私たちの仕事を少し長い目で見ていただくしかありません。どうぞ、みなさま、今後ともさらにオフィス マッチング・モウルをよろしくお引き立てくださいますよう、お願い申し上げます。


というわけで3月5日。法人としてあらたなスタートを切ったオフィス マッチング・モウルは、会社の設立記念パーティーをささやかに内藤宅でおこないました。写真は「いやぁ、大胆にも法人化しちゃったねぇ」と緊張しつつもさらなる前進を誓う『取締役でプログラム・ディレクターの池田』と、『代表取締役でディレクターの内藤』でございます。パーティーには近所にお住まいでインディペンデント・キュレーターとしてがんばっている原田真千子さん (『BT 美術手帖』の今年3月号から、中部地区の展評は彼女が担当しています) もお祝いを持って駆けつけてくれました。ありがとうね。


さて、話は前後しますが3月3日桃の節句。愛知県の春日井市にある 文化フォーラム春日井 で開催されている展覧会の初日にでかけてきました。展覧会名は『空想と創造展 U 日だまりのホームシック (3月25日まで開催)』。名古屋芸術大学講師である高橋綾子さんの企画によるものです。展覧会のタイトルについては、チラシに「21世紀を迎えた現在の私たちが抱えているある種の世界観や個人の心象風景がこの言葉によって表現できるのではないかと考えました」とあります。この展覧会には現在私が担当して企画進行中の『ファン・デ・ナゴヤ美術展2002 仲介者たち』との共通項もあり、偵察 (笑) の意味も込め、興味深く拝見しましたぞ。展覧会は、ひとつの広い会場に3人の作家のインスタレーションが3点というかたちで、谷山恭子、申明銀、三田村光土里というだいたい30歳代という世代の女性アーティストによって構成されていました。企画者の高橋綾子さんが私と同じ年であることを考えると、腑に落ちるテーマと作家のチョイスです。しかし、チラシや展覧会全体に漂うお洒落っぽさというか洗練度が、どうも体育会系寄りの私には眩しいわ……。今回はじめて見た三田村光土里の作品が、同年代の私の琴線に触れました。文化フォーラム春日井は、JR中央本線「春日井駅」下車・徒歩15分で春日井市役所の隣です。月曜休館。展覧会は25日まで。


3月8日は豊田市美術館で開催中の『中原浩大 ― 所蔵作品を中心として ― (3月25日まで開催)』へ、池田とふたりでアートなおでかけ。すでに見たことのある作品が多かったけれど、これまた作家とほとんど年が変わらない私としては、自分の中で最近煮詰めている展覧会についてのあれこれというフィルターを通して改めて中原作品に接することになりました。


3月10日には最終日前日ということで 『ジャズの街角 PartV−内田修ジャズコレクション−/アメリカンファッション 1940’s−1960’s』 (岡崎市美術博物館)へ。会場では、この一ヶ月間土日返上で現場に詰めていた池田と合流。満員で会場に入れなかったテープコンサートをロビーで聴く。『ファン・デ・ナゴヤ美術展2002 仲介者たち』の共同企画者であるアーティストの設楽知昭さんも来ていたので、コンサート終了後に近所でお茶を飲みながら展覧会についての打ち合わせなど。ここのところの私は、プライベートな時間もほとんどこの展覧会のことをどこかで考えているという状態です。どうやら設楽さんも同様のよう。おかげでいろいろと楽しいプランが浮かんでいます。作家はたいへんだけど……。


現在進行形の仕事
『@port』(名古屋港ガーデン埠頭界隈:3月31日〜4月1日開催)



Top             Bottom



 週刊 モグラ屋通信 第34号 2001.3/29  


内藤です。春ですねぇ。春といえばアートフェアの季節。3月末から約1ヶ月の間で、東京を皮切りに、名古屋、大阪と次々に開催されます。27日は、その口火を切る東京国際フォーラムでの NICAF のオープニング・プレビューへ、池田とふたりで出かけていきました。オフィス マッチング・モウルのギャラリーネットワークでもお世話になっている画廊の方々と、会場のあちこちでごあいさつ。私たちにとって、アートフェアが便利なのは、それぞれの画廊が何人もの取り扱い作家の作品を出していることで、改めて作品を確認できるからです。いくつか、記憶に留めておこうという作品もあり、たまたま居合わせたその作家とお話できたりしたのはラッキーでした。もちろん、お買い物感覚な方にも、手頃な値段の作品も多いので、4月1日の最終日までに機会がある方はぜひ覗いてみるのがよいでしょう。 NICAF が終わると、4月10日からは 名古屋コンテンポラリーアートフェア(NCAF) が、さらに27日から大阪の SUMISO 大阪アートフェア が始まるというにぎやかさで、 ギャラリーネットワーク でも、それぞれの画廊が出展するアートフェアを紹介しています。そういえば、事務所のあるここ愛知県岡崎市ではまだまだ桜はちらほら状態ですが、有楽町の駅そばの桜がほとんど満開状態だったのには驚きました。オフィス マッチング・モウル的お花見はもう少し先になりそうですが、31日、4月1日に開催される 『@port』 会場周辺では、ちょうど桜が見頃かもしれません。アートも盛りだくさんですが、さらに嬉しい模擬店やフリーマーケットも出ます。ぜひ、お運びください。池田と私も会場でみなさまのお越しをお待ちしております。


現在進行形の仕事
『@port』(名古屋港ガーデン埠頭界隈:3月31日〜4月1日開催)



     
モグ通 BEFORE     モグ通 NEXT



 週刊モグラ屋通信 目次へ    TO HOME  

 オフィス マッチング・モウルへのご連絡、お問い合わせは E-mail/office@m-mole.com へお気軽にどうぞ