Office Matching Mole on the Web/週刊モグラ屋通信 24



 週刊 モグラ屋通信 第56号 2002.7/10  

 
内藤です。ものすごく忙しかったです。思い起こせば、5月〜6月半ばまでに三河・佐久島アートプラン関連の印刷物を連発で発行しておりました。まず、前年から引き続きのプロジェクトの情報紙『佐久島からの手紙 Vol.5』。今号からバージョンアップして片面カラー印刷に! 展覧会情報のスペースも増やして、アート色をさらに強くしました。加えて、今年度のすべての企画のスケジュールを網羅した『アート&イベント案内』を新たに制作。とどめに、アーティストの松岡徹渾身の佐久島絵地図に島の情報を満載した『佐久島体験マップ』を制作。ほとんどデザイン事務所というか編プロ状態のモグラ屋でございました。これら、佐久島をより楽しむための地図、スケジュール、情報紙はすべて無料で島内で配布しています。プロジェクトで制作した各種印刷物のご案内ページ 佐久島からの手紙+α も新たに制作。お問い合わせは オフィス・マッチング・モウル まで。
 
怒涛の編集作業と並行して、 『七福(しちふく)2002展』 『弘法巡り+アート・ピクニック』 の準備に追われ、池田は池田で岡崎市シビックセンター 資料室(ジャズコレクション)の展示換え+αに追いまくられておりました。佐久島でのイベントも無事終了、展覧会もスタートして、まず私からほっと一息。しかし、今月末には松岡徹のワークショップもあり、イベントや展覧会の報告ページも制作予定で、結局ほっとしたのは2日ほどでした。池田の方は、別の締め切りにまだ追われ続けていて、当分は息もつけない状況です。私たちがのんびり温泉でくつろぐことができるのは、いつの日のことでしょうか? (続く)
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/7月10日更新
岡崎市シビックセンター 資料室(ジャズコレクション) 展示コーディネート
 
 
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 週刊 モグラ屋通信 第57号 2002.7/23  

 
7月某日。名古屋駅で電車から降りた途端、そのあまりの暑さにのけぞってしまった内藤です。ホントに、名古屋の夏は暑いでかんわ。厚くて湿った空気の中を、泳ぐようにもがくように池田とふたり、 白土舎 で開催中の 設楽知昭 展 へ。 ファン・デ・ナゴヤ美術展『仲介者たち』 以来はじめてゆっくり設楽作品を見る。実は作品を見るどころか、ちゃんと話をするのも久しぶりなのである。たまたま『仲介者たち』の会期中に、いくつも別の仕事を並行して進めており、終了後もたいへん忙しく現在に至るモグラ屋。まったく無沙汰もいいところなのであった。そこで、せっかくだから展覧会を見た後にゆっくり食事でもしよう、さらに画廊の近所に住んでいる 小川信治 も呼ぼう、ということになり、結果的に、楽しい夕食会は実に有意義な『仲介者たち』の反省会となった。まったく遅ればせながらだけど。
 
白土舎に近い伏見の蕎麦屋で、焼酎の蕎麦湯割りをいただきつつ、話は核心に向かった。2002年1月に名古屋市民ギャラリー矢田で開催された 『仲介者たち』 は、 小川信治、伊藤誠、小林孝亘、染谷亜里可、設楽知昭、今村哲 の6人の作家が参加した。順路も、小川から今村まで上記の順に回るようになっていた。後日、美術雑誌の展評でも書かれたように、伊藤誠の作風は、他の5人とはかけ離れて異質に見えた。というか、そういう風に見えやすかった。しかし、それを言うなら、他の5人の誰も、それぞれまったく異なる作風である。同じグループとして括る要因があるとすれば、それは、制作の姿勢や、今の日本の美術界のムーブメントからの距離感であり、その原因は、世代や地方で培われたさまざまな資質が複雑に絡まりあっていると思われる。でも、5人を括る要因を展覧会に当てはめれば、そこに伊藤誠が含まれることは、企画者である設楽さんや私にとって、まったく自然なことだった。
 
このことに関して設楽さんや小川さんは「『仲介者たち』の参加作家は、普段はひとりひとり活動しているけれど、あの展覧会に関しては、ソリストがばらばらに演奏するのではなく、結果的にオーケストラのように6人の作家が『仲介者たち』という作品を作り上げたのではないか?」と、グループ展が単に複数の作家が参加するというのにとどまらない結果を生み出す可能性を示唆し、あるいは「ひとつの香水をつくるいくつかの匂いは、単独では意外な匂いが入っていることがある。でも、それが合わさることでまったく別の匂いが生まれる」と語った。『仲介者たち』がそういう展覧会になったことは、作家たちにとって意義のあるものだったようだ。さらに、ふたりともが「あの展覧会の牽引役はまさに伊藤誠の作品だった。あの作品がなければ、展覧会はまったく別のものになっていた。そういう意味で、伊藤誠の参加がなければあの展覧会は成り立たなかったかもしれない。」と強く主張した。そして、そのことの伝わらなさにもどかしさも感じていたようだ。
 
現在、アートに関して語られることばの多くが、その対照を「語りやすい作品」に向けている。作家たちは、言葉によって語られることを目指しているわけではないので、ある種の作品は優れていながら言葉によって語られる契機を得られない。どのように語っていいのかわからない作品は、その存在すら見て見ぬ振りをされることがあるのだ。また、作品に対して、言葉が追いついてこないこともある。だから、作家の中には、それに対する苛立ちを隠さず、果敢に言葉を積み重ねる者もいるのだ。それは、個人の選択なので否定はしないけれど、作家の言説が、そのまま作品について語られる言葉となるなら、批評家は何のために存在するのか、わからなくなってしまう。
 
オフィス・マッチング・モウルに語ることばがあるとすれば、それは批評ではなく、アート・マネジメントの立場から、作品に、アートに出会うことで生まれる可能性や喜びについてだろう。そして、私たちは、その作品の存在を伝えるべきだと考える作家とだけ、仕事をする。私たちのスタンスは、このようにシンプルなものだ。私たちは個々の仕事について、遅ればせながらの反省もするのだけれど、自分の仕事について客観的な批評をするのは別の人たちの仕事だと思っている。ただ、その視点が美術史や美術のための言葉という、相変わらずの枠組みを出られないものだとしたら、私たちの仕事の意味は伝わらないだろう。
 
今、佐久島は夏真っ盛りだ。私は、現場仕事で、真っ黒に日焼けしてしまった。社会とアートをむすぶ橋渡しとも言われるアート・マネジメントの仕事は、本の知識では絶対に学べない困難と喜びに満ちている。そんなアート・マネージャーを全国各地に育てようという趣旨で、 トヨタ自動車株式会社のメセナ活動 として実施されている『トヨタ・アートマネジメント講座 名古屋セッション 総合-4 』が、残暑厳しいに決まっている名古屋で8月31日、9月1日の2日間に渡って開催される運びとなった。本日より、いよいよウェブ上でも告知と申し込みが開始する。さまざまな考えや立場の人たちが、そこに集まるだろう。こうして、少しずつ、アートを巡る状況は変化していくのだ。最初の一歩。
 
 
現在進行形の仕事
 『トヨタ・アートマネジメント講座 名古屋セッション Nol.43 』 制作・事務局/7月23日更新 参加者募集中!
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/7月23日更新 ワークショップ参加者募集中!
岡崎市シビックセンター 資料室(ジャズコレクション) 展示コーディネート/継続中
 
 
     
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