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オフィス・マッチング・モウル 週刊モグラ屋通信 57


本日の担当:内藤
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【今週のひとこと】

池田/ナツメロ聴いてバブルな青春を思い出す今日このごろ。
 
 

山口/セールで新作浴衣ゲット。佐久島の盆踊りで着ます!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 週刊 モグラ屋通信 第136号 2006.7/26  

最近、気づいたことがある。本当にすばらしい作品に出会ったとき、私はその意味を問うことをしない、ということ。この言い方は語弊があるかな? 作品に向かい合ったとき、その意味を問いかける余地があるものなんて、実はそんなに面白くないんじゃないか、と考える。そういうのって“邪念”とすら思うのである。なんというか、“言葉”に簡単に置き換えられる意味なんて、実はあまり面白くない。こんなことをあらためて考えるのは、そういう邪念が沸き起こる余地のない、ファイン・アートとしての力のある作品に対峙した経験があるからだ。それは滅多にない。稀にしか起こりえない奇跡的な瞬間だ。でも、あるのだね、これが。そんな作品が。実は、最近久しぶりにそんな作品に対峙する幸運に恵まれた。正確にいえば、試作段階の作品なのだが、なんというか、その作品の持つ力が「細胞まで届いた」。その時、歴史は動いた――ではなくて、言葉は消えた。邪念なし。一切なし。脳が、身体が、その作品がもたらすものに一瞬にして塗り替えられる。NEW WORLD COMING. そう、これが、アートでしょう!!
 
私はアートが仕事なので、もちろん日常的に言葉を使ってアートにまつわるあれこれを伝えようとするけれども、それはまぁ、便宜上というか、説明して納得してもらわなければクライアントからも観客からも満足を得られないことが多々あるからだ。だから、わかりやすい言葉でのわかりやすい説明を心がけている。けれども、個人的には説明する対象となる作品に対して、それがすばらしい作品であればあるほど、無口になるし、作品のコンセプトについて語ることにおおむね興味がない。仕事の現場で作品のコンセプトについて質問するとき、それは作品からは何も伝わるものがない場合に私が発する社交辞令である場合がほとんどだ。特にアーティストに対してこの手の質問をするとき、私はつまらなさ全開状態なのだ。「なにも伝わらないので、せめて何か伝えてくれ」みたいな? アーティストがコンセプトにたいしてくどくどネチネチ語ることとは、私にとって「言い訳」を聞かされることとイコールなのである。ありふれた作品のありふれたコンセプトがありふれた言葉で語られること――それは拷問に等しい。それが無駄に意匠的に洗練されているっぽい上に、それらしき言葉で語られるとき、世界は薄っぺらく縮こまっていくように思える。ああ、狭い、ああ、やぐい (“やぐい”というのは三河弁で、弱いとかちんけな、とかそういう意味。たとえば「やぐい男」というのは、男性に対する侮蔑の言葉としてはメガトン級。なぜか「やぐい女」とはあんまり言わないんだな、これが)
 
ただ、世の中には「語られやすい(語りやすい)作品や作家」というのもあり、そういうアートを語る行為は、なんというか頭の体操みたいな楽しさもあるだろう。人間は多少なりとも知的な生き物なので、その部分を刺激することもまた快感というのもわからないでもない。世界中でいろんなことが知的好奇心の対象になっているのだ。アートだって時には俎上にのぼったっていいじゃないか! 誰も聞いちゃいないけど……みたいな。手っ取り早く社会問題 (グローバリズムや戦争、情報化社会やひきこもり、性差についてなどなど) に絡めた語りで、「この作品は現代の〜の問題をに反映しており」みたいな切り口で、はい、いっちょあがりっ! ってなもんである。他にも「美術史という局地的な歴史」で語るという方法論もありだろう。で、そんな社会問題や局地的歴史観に根ざした作品が本気で面白いのか、またそんな切り口で作品を語ること自体が嬉しいのか、という素朴な疑問を持つのは、たぶん私がひねくれているからだろう。そういう作品が評価され、その手の語りが出回るのも時代を反映しているのだろう。
 
よく考えてみると、作品に関して私が語る場合、多くの場合作品のコンセプトなんかじゃかくて、その作品と出会うことで、何が起こるか? 世界がどう広がるか? という部分に意識は集約されていくように思える。まぁ、その部分がうまく伝わっていないと言われれば、まだまだ修行が足りませんねわたしも。けれど、朗報ですよ、みなさんっ! こんなウダウダ話をぶっとばすような作品、わからず屋のワタクシ内藤の細胞まで届く作品による展覧会が、この秋、佐久島で開催されますの。百聞は一見にしかずとはこのことよっ! 9月30日からはじまる 内藤礼展(仮称) に全国各地から駆けつけましょう。こっちの内藤はアレだが、あっちの内藤はすごいですよ、ホントに。
 
 
現在進行形の仕事
三河・佐久島アートプラン21 『佐久島体験2006 祭りとアートに出会う島』 企画・制作/7月26日更新
岡崎市シビックセンター 内田修ジャズコレクション 展示コーディネート/継続中
豊橋市 子ども芸術大学連携講座木村崇人、道下佳彦、松岡徹谷崎テトラ
  ワークショップ企画・制作担当/8月10、11、12日開催

岡崎市美術博物館 『アートに生きる、アートで元気!』 制作・ワークショップ担当/8月5日〜9月24日開催
 

 
     
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