三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2004 祭りとアートに出会う島
 
平田五郎展 『佐久島空家計画4/大葉邸』
制作リポート 2
2004年8月10日〜19日
8月17日(火) 左官ワークショップ1日目

今回で第四期となる平田五郎による『佐久島空家計画/大葉邸』。これまでも大工さん、左官さん、建具屋さんと、さまざまな匠たちにお世話になってきた。職人さんたちとのコラボレーションの集大成といえるのが、この『左官ワークショップ』。大葉邸の中核をなす漆喰の部屋では、「図書館で調べた」知識だけで、左官技術の最高峰ともいえる「磨き漆喰」に挑んでしまった平田チーム。昨年度も一昨年に引き続き、磨き漆喰を制作に用いたわけだが、苦労の末に完成した作品部分が「白化」してしまう、という予想外の展開となった。
 
諦めきれない我々は、再度「磨き漆喰」に挑戦。しかし、さすがに今度はプロの教えを仰ごうということになった。ちょうど佐久島に学生を連れてやってきている九州大学の藤原先生に事前に連絡をとり、磨き漆喰のできる左官職人さんを紹介してもらう。実は、ほとんどの左官さんは磨き漆喰の経験なんてない。これは、普通の大工が宮大工の仕事ができないのと同じで、かなり特殊な伝統技術。最初、藤原さんは左官業界では“神様”といわれているような大分の左官さんにたずねてくださった。今回の左官ワークショップの講師として来てくださったおふがりは、その“神様”のお墨付きのすごい職人さんだった。が、最初、無知な我々はそんなことも知らず、すごい職人のひとりに佐久島での素人集団へのワークショップの講師を依頼をしたのだった。
 
第一の職人さんは左官業界では知らぬものはない 株式会社 花咲か団 の代表 岡田明廣氏 。もうひとりは、やはり超有名で蔵を専門に手がけている小松左官工業 の代表 小松七郎氏 。「なに? ホントに素人が磨き漆喰をやったの?」と、ほとんど怖いもの見たさと持ち前の男気でもって佐久島に来てくださった。迎えるボランティア・自称「佐久島左官クラブ」 (顧問:平田五郎、部長:酒井敏子) の面々は、憧れの左官職人さん (しかも大物) の登場に、緊張とともに感激のようす。さっそく、これまでにやった磨きの仕事を見てもらう。「まぁ、素人にしてはよくやったよ、素人にしてはがんばった」などと微妙な評価をされたり、黒漆喰を練る平田さんの手つきを「平田さんは仕事ができるね。うん、上手い」と褒められたり……。
 
さっそくおふたりは仕事にかかる。左官クラブのメンバーはメモを片手に職人さんの言葉を聞き逃すまいとものすごい熱意でのぞむ。職人さんの手さばきにうっとりしながらも、その技術のほんの一片でもものにしようと真剣そのものだった。しかしながら、見れば見るほど、素人仕事とプロ中のプロの技術の差は歴然で、ただただ感動の嵐、そんな感じのワークショップとなった。
 
一日みっちり仕事をすませ、みんなで夕食。お酒も入っての楽しいひととき。岡田さんも小松さんも、ものすごく誠実な職人さんで、だから、ものすごく誠実に制作する平田五郎とボランティアたちにとても暖かく接してくださった。夜の遅い時間でも、「ちょっとようすを見てくる」と漆喰をチェックしに出かける小松さんは、左官道具を入れたケースを肌身離さず、そのルックスも相まってゴルゴ13みたいでした。
■ボランティア 10名/天野陽史、高木志瑞子、尾野訓大、酒井敏子(名古屋市)、藤原恵洋、新川昌明、坂本一浩、馬場尚美、太田一彦、藤原風人
 
 
8月18日(水) 左官ワークショップ2日目

これまで佐久島での漆喰の作業では「磨きの尾野」といわれるくらいに、磨きが上手な尾野くんは、師匠たちの手つきを見よう見真似でいっしょに磨き技に挑戦。左の写真のように、美しい黒磨きが完成した。
 
午前中、あれこれ作業をし、最後に記念写真を撮って講師のおふたりにみんなで感謝のご挨拶。おふたりが帰途についた後も、本物の左官さんに教えてもらった興奮は覚めやらない。しかし、一応明日は完成していなければならず、さまざま仕上げの作業に夜遅くまで追われた。
■ボランティア 4名/天野陽史、高木志瑞子、尾野訓大、酒井敏子
 
 
8月19日(木) 作品説明会

午前中に最後の掃除をすませ、今回の作業のすべてが終了。午後からは、平田さんのマネジメントをされているTOSHIO SHIMIZU ART OFFICE の代表 清水敏男氏が、これまでの平田さんの仕事を写真をまじえた紹介をしてくださり、佐久島の島民にも、大葉邸や平田さんの仕事を理解する一助となったと思います。平田さん、そしてボランティアのみなさん、本当にお疲れさまでした。
■ボランティア 4名/天野陽史、高木志瑞子、尾野訓大、酒井敏子
 
 
後日談

左官ワークショップで、すっかり左官の魅力に取り付かれた佐久島左官クラブのメンバーは、左官クラブの部長の酒井敏子さんの呼びかけで、後日名古屋市が主催した左官の技術講習会にも積極的に参加し、天野陽史くん、オフィス・マッチング・モウルの山口潤子がさらなる左官技術の習得を目指した。
 
しかし、講習会に出かけてびっくり! その講習会の講師は、なんと佐久島でもお世話になったマイスター 岡田明廣氏 だったのだ! 岡田氏に再びめぐり合えた喜びに、みんな大感激。講習会の他の参加者の人たちにも佐久島のことを触れ回り、講習終了後にはぶうちゃんも交えて佐久島ツアーをおこなったとのこと。左官が結ぶ楽しい出会い。岡田さん、本当にありがとうございました。!
 
『佐久島空家計画4/大葉邸』アーティスト・イン・レジデンス
期間:2005年8月10日(火)〜19日(木)
参加ボランティア:のべ77名
 
 
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関連情報
 2003年度 平田五郎展『佐久島空家計画3/大葉邸
 2003年度 平田五郎展『佐久島空家計画3/大葉邸 写真リポート
 『佐久島空家計画/大葉邸』・今後の室内見学について
 2003年度 『佐久島空家計画3/大葉邸』・墨すりサポーター募集
 2003年度 『佐久島空家計画3/大葉邸』制作リポート1
 2003年度 『佐久島空家計画3/大葉邸』制作リポート2
 2003年度 平田五郎ワークショップ
  『もようのある石こうの板をつくろう 』 写真リポート

 
 2002年度 佐久島空家計画2・制作記録
 2002年度 『佐久島空家計画2/大葉邸』・写真レポート
 2001年度 『佐久島空家計画1/大葉邸』・制作記録
 2001年度 『佐久島空家計画1/大葉邸』・写真レポート

 
講師の小松七郎氏と話す平田さん
講師の岡田明廣氏とボランティア
九州へ帰る藤原チームと共に昼食
左官指導に釘付けの左官クラブ
講師の岡田氏(左)と小松氏(右)
炸裂する左官の技! うっとり……。
「磨きの尾野」も師匠を見習って。
作業が終わり楽しい晩ごはん。
 
ザ・黒磨き。風景が映ってます。
記念撮影。ありがとうございました。
さて最終の追い込みです。
昼食は三色ご飯。美味しそう!
蔵南側のペンキ塗りをする陽ちゃん
 
最後に床をイボタロウで磨きまくる。
瓜とトコロテンの素敵な昼下がり。

 
2004年度全記録
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■主催: 幡豆郡一色町
■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会
■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル
得意の手作り餃子をつくる平田さん
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