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ファン・デ・ナゴヤ美術展2002
『仲介者たち』のもたらすもの



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  伊藤誠 今村哲 小川信治  
  小林孝亘 設楽知昭 染谷亜里可  
        東野司

 あるテレビ番組で、現代の若者たちに、明治以降の日本を写した数々の写真を見せて「どの写真に『現代』を感じるか?」という問いかけがなされた。彼らが「現代」として選んだもっとも古いものは、東京オリンピック(1964年)の頃の都会(東京)の風景だった。この展覧会『仲介者たち』は、偶然その番組を見ていたアーティスト設楽知昭の「現代(あるいは時代)」を巡る考察からスタートすることになる。
 東京オリンピックが、現代に直結する分岐点としても、さまざまな変化が地方まで波及するのには、さらに数年から10年近いタイムラグがある。そこで、私たちは「日本の現代をリアルに体験してきた世代」のアーティストたちをピックアップし、彼らの作品を通じて時代を見つめ直してみようと考えた。結果的に選んだアーティストは、伊藤誠、今村哲、小川信治、小林孝亘、設楽知昭、染谷亜里可。1955年から1961年生まれの6人である。
 6人の作家たちの背景にあるのは、確かに共通した時代背景だ。しかし、世代論だけで彼らを語るのは、陳腐な試みにも思えた。そこで、時間軸と別に空間軸で彼らを眺めると、そこには「地方」という別の共通項があった。
 『仲介者たち』の出品作家は、名古屋出身者、在住者、かつての在住者である。アーティストとしての彼らの共通点は「真摯な制作姿勢」にあるように思える。彼らは流行とは距離を置き、ひたすらに自らの絵を描き、彫刻をつくる。当たり前のようだが、彼らがアーティストとして前線に立った90年代というのは、横文字満載の取り扱い説明書がなければ「古臭い」といわれた時代だ。しかし、言葉よりも先に作品が厳然として存在する彼らの根底にあるのは、この中部地方で培われた「地味だが、着実にものをつくっていく」という資質のように思える。流れに逆らったり、逆に流れに乗っていくのではなく、岸にたたずんで静かに流れを見つめるかのように。けれど彼らは、ただ立ち止まっているのではない。流れに橋をかけるには、まず流れを見つめなければならないからだ。
 6人のアーティストたちは、時間と空間を超えて、現代に生きる人々に大切な「何か」を伝えるだろう。私たちは彼らを『仲介者たち』と名付けた。


展覧会パンフレットでは、SF作家東野司(1957年生まれ)の短編小説を掲載。異なるジャンルから7人目の仲介者として参加する。

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■事務局/お問い合せ先:
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ファン・デ・ナゴヤ美術展2002『仲介者たち』事務局
オフィス・マッチング・モウル代表 内藤美和


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