三河・佐久島アートプラン21 佐久島体験2010 祭りとアートに出会う島 佐久島弘法プロジェクト2
『小川次郎×長岡勉』 写真リポート2
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■ 長岡勉 『サンカク』
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■ 現地制作日数/3日間
2月13、14、19日 ■ のべ制作参加者数 : 14名 ■ 設置場所 : 東地区・筒島入口 ■ 設計 : 長岡勉 ■ 場所 佐久島の東渡船場から徒歩約10分。弁財天のある筒島をのぞむ島の東南端に、長岡勉による新しい弘法の祠が作られた。ここは、海辺の割に冬場の西風も強くなく、高台にあるため波をかぶることもない。この場所に祠を作ったのは、島民からの要請だった。 現在、佐久島でのアートプロジェクトにおけるアート作品の設置場所は、島の南側の西から東まで広くちらばっている。しかし、東の外れにあるこの場所はまったくの空白地帯だ。とても良い場所なのに、まだまだ訪れる観光客も少ない。弘法さんの祠をきっかけに、島巡りルートの可能性を広げたい。そんな島民の思いに応えてこの場所が祠の設置場所となったのである。 同時に制作された小川次郎の祠と同じく海辺に建てられることになったが、小川の祠が知多半島に沈む夕陽を眺めるのにふさわしい西端にあるのと逆に、長岡の祠は渥美半島から昇る朝陽に照らされる東側に建てられたのは奇妙な偶然だった。 ■ かたち 祠のかたちも対照的なものとなった。長岡勉は、設置場所の切り立った岩場や目の前に広がる海の景色に負けないようにシンプルで幾何学的な形を選んだ。三角形である。また、潮風にさらされて風化した時に、それが風情となるようなタフな存在感も考慮された。 材料は、小川次郎設計の祠と同じセメントを使用しているが、砂利の入っていないモルタルを鉄筋が入った型枠に一気に流し込んで成型した。左右の四角い壁面には斜めの段々の目地を持ち、その線の作る流れは祠が大地からにょきっと生えたような印象を与えている。 有機的なデザインの小川の祠とはまったく違う切り口ながら、見る方向によって印象が異なるのは長岡の祠も同様である。祠に向かって小道を歩いて行くと、最初は四角形の側面が見え、近づくにつれ、それが三角であることがわかるのだ。 祠の入口に花入れやお賽銭入れがあり、その奥の広くがらんとた空間に弘法さんが鎮座しているようすも、弘法さんが柔らかい曲線に優しく包まれる小川の祠とは好対照といえる。背面に入れられたスリットは、終日外部からの採光の役割を果たすが、その特徴が際だつのはやはり朝陽が強く差す時間帯である。3月頃なら午前10〜11時頃。その時光は両側の壁や床に反射し、まるで後光のように輝くことで、光に照らされた弘法さんは威厳のある力強い姿に見える。 ■ 瞬間の光は遍く照らす 見渡す景色の中にあるのは、海、岩、松と他の植物群で、遠くに見える渥美半島にしか人工物が見えない場所でもある。そこにRC工法で作られた幾何学的な祠があるのは違和感があるのではないかと誰もが思うだろう。 しかし、祠を構成するコンクリートは枠からはずすと縁がざっくりと粗い印象で、都会のビルのような冷たい雰囲気はなかった。むしろ何十年も放置された廃墟のビルの風合いにも似ていて、それがこの場所に溶け込むのに時間はかからないように思える。 一日のうちの一時間ほどのわずかな間だけ、その信仰の大きさを現わすように光に包まれる弘法大師のための祠。始発便に乗るか、島に宿泊するかのどちらかでなければその瞬間に出会うことはできない。それは貴重な瞬間である。けれど他の時間に訪れるのも悪くない。瞑想している弘法さんに出会えるはずだ。 (文責:オフィス・マッチング・モウル 内藤美和) 本展終了後は常設となります。佐久島東西渡船場と弁天サロンで無料配布している佐久島弘法巡りスタンプラリー2011の地図に設置場所が掲載されておりますのでご参照ください。 |
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■ 2010年度 年間スケジュール ■ TO HOME ■主催: 幡豆郡一色町 ■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会 ■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル |
南側筒島へ向かう階段から見た景色 |
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