Office Matching Mole on the Web
オフィス・マッチング・モウル

オフィス・マッチング・モウルとは?

 
⇒  はじめに  設立前夜  社名の由来  方針  アートの可能性 / 具体的な業務内容と実績
 

はじめに

Office Matching Mole on the Web へようこそお越しくださいました。このサイトは、現代美術に関するコーディネート&プランニング事務所 『オフィス・マッチング・モウル』 (2001年3月に法人化。正式名称は有限会社オフィス・マッチング・モウル。通称、モグラ屋)の活動を、多くの方々に知っていただくために1999年10月10日にスタートいたしました。オフィス・マッチング・モウルの具体的な業務内容は次項に譲るとして、ここではわたしたちが事務所を設立するまでのいきさつなどをお話ししましょう。
 

設立前夜

1999年7月10日。学生時代からの長い東京生活に区切りを付け、故郷の愛知県に戻って間もなかった池田は、それまで個人的なつきあいはなかったものの、元同業者ということでなんとなく顔だけは知っていた内藤に誘われ、豊田市美術館の講堂で開催された川俣正のレクチャーを訪れました。内藤はその半年間で既に北九州、名古屋とその豊田市美術館とで3回も川俣正のレクチャーを体験して、すっかり「隠れ川俣ファン」になっていたのです。何故「隠れ」なければならないのか、本人もよくわかっていないのですが……。とにかくそれが、後にオフィス・マッチング・モウルの設立メンバーとなるふたりがいっしょに行動したはじめての機会でした。すべてはそこから始まったのです。

レクチャーの後は、美術館近くのレストランで赤ワインで乾杯して、聞きたてほやほやの川俣正のレクチャーの感想を鼻息荒く語り合ったのでした。その時、現代美術に対するスタンスがけっこう似ていることにお互い初めて気付きました。半月も経たないうちにもう一度ふたりで会う機会があり、その時にはもういっしょに仕事をしようという話になってしまったのです。こうして出会いから3ヶ月後の1999年10月10日、現代美術ヨロズ請負業のオフィス・ マッチング・モウルは約2ヶ月の準備期間を経て正式にその業務をスタートさせたのでした。
 

社名の由来

事務所名を決めるのは途中まで難航いたしました。というのも、現在、文章仕事もこなしていながら「どうもキャッチコピー系は苦手」というところまで似たもの同士のふたり。池田は「ちくわ屋」「かまぼこ屋」などと好きな練り物系に思いを馳せる始末で、かといって内藤がグッド・アイデアを思いつくでもなく、ただなんとなくその件はうやむやのうちに時間は過ぎてゆきました。しかし、9月に入れば具体的に活動を始めなければならず、電話を引いたり、名刺を作ったり、欲張りにもウェブサイトも作ろうと密かに考えていた内藤は、ついに得意の「困った時には人に頼る作戦」を敢行。多方面に「何かいい名前ない?」と聞きまわることになりました。なぜか美術関係者以外の友人達にだけアイデア募集を繰り広げたのは、新鮮さを求めたからかもしれません。そこに浮上してきたのがこの『オフィス・マッチング・モウル』。アイデアを提供してくださったのは音楽好きの友人でした。

同時に提案されたのもすべてロック系の音楽のタイトル (及びアルバム名) 等で、中には「Office Low Budget (ロウ・バジェット) 」なんていうのもございまして、意味は「低予算」。私たちの目指す世界観は現しているものの、いくらなんでもそれはちょっと……。それら、いくつかのアイデアの中で不思議と心に残ったのが現在事務所名に決まった『オフィス・マッチング・モウル』でした。「MATCHING MOLE」というのは、70年代のプログレッシブ・ロックのバンド名なのですが、その方面に疎い内藤は残念ながらそのバンドもアルバムもその時点では聴いたことがありませんでした。けれど、参考までにと知らされたデビューアルバムのジャケットのモグラが二匹向かい合っている絵を見た時、なんとなくひらめくものがあったのです。これをご縁と申しましょうか?

内藤におけるモグラの想い出は、小学生の頃通学路の側溝で見た死体のモグラだけ、というけっこう不吉なものですが、実はこの6月頃から姿は見えねど内藤宅の庭に出没しはじめたモグラがあれよあれよという間に大きなアメリカハナミズキの根元を荒らしまくったあげくに枯らしてしまったのです。憎きモグラなれど「小さな体でけっこうなことをやらかしてくれるでないの」という印象を残しました。かたや池田 (ちか) は幼い頃に名古屋の地下街のテーマソングにひっかけて「モグラのチカ (地下) ちゃん」などと呼ばれた過去を持ち、結局ふたりともモグラにご縁があるのだ、と妙に納得の末、あっという間にこのアイデアは採用に至ったのでありました。表紙の二匹のモグラの絵は、内藤が個人でライター仕事をする際に使っていたキャラクターを2匹に増やしたもので、別の友人の落書きが元になっております。
 

方針
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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Bottom

 

私たち、オフィス・マッチング・モウルが、具体的にどんな仕事をしようとしているか? 私たち自身もまだその方向性がうっすらとわかっているだけの現在、仕事の内容に関してはまだたくさんの可能性を持っている、としか申し上げられません。けれど、はっきりとわかっていることもあります。それは、私たちが手がけた仕事を通して、少しでも多くの人にアートと関わることの楽しさや喜びを自らのものとしてもらうことを目指していく、ということです。それを実現するための努力を、私たちは惜しみません。なぜならば、このことが私たちの存在理由だと考えるからです。地方だから、子ども相手だから、現時点で予算がないから……さまざまな理由 (所詮〜だから) が、結果的に質の悪い、レヴェルの低いアートを受け入れてゆく言い訳になるでしょう。けれど、私たちの仕事はそんなこれまでの常識を突破してゆくことだとすら考えるのです。予算が少ないのにクオリティの高いアートを提供できるのか? できます。けれど、それを実現するために私たちはクライアントにも厳しい要求をすることになるでしょう。

例えば、オフィス・マッチング・モウルに野外彫刻の設置のコーディネートの依頼が来た、といたしましょうか。仮に、依頼主は地方の行政だっとします。市制25周年を記念して、記念公園を作るので、そこにふさわしいモニュメントのため作品を提案する、というのが私たちの仕事になるわけですね。場所はこんなところで、と公園の写真や見取り図が送られてきます。予算はこのくらいで、期限はいつまでに、など、実際の設置のために必要な数字のデータはすでに用意されているようです。でも、それらは私たちが求める「必要なデータ」のほんの一部にすぎません。

私たちはどんなに遠くてもまず現地に出向き、その公園を実際に使うことになる住人の意見にも耳を傾けます (依頼主である行政の話を聞くのはいうまでもありません) 。そして、住民のかたにも行政のかたにも、野外彫刻を設置することのメリットとデメリットについて忌憚のない考えを伝えたいと思うのです。野外彫刻が置かれることの、良い面ばかりを宣伝したとしても、現実に立ち現れる諸問題。おおむねそれはメンテナンスの問題となるわけですが、そのことに対して充分に納得してもらえなければ、たとえ「立派なモニュメント」なるものが設置されたとしても、長い目で見た場合、住人にとっても、行政にとっても、また作家や作品にとっても不本意な結果を招くことを理解してもらわなければなりません。

野外彫刻は樹木と同じです。それは、土地に根付いてゆくべきものだと私たちは考えます。植物がそうであるように、そこには、水をやり、肥料をやり、雑草を抜き、害虫を駆除し、とさまざまな人の手が必要とされます。そのように手をかけられたものであるからこそ、長い年月の後も、美しい花、すがすがしい緑を私たちに与えてくれるのです。もの言わぬ鉄や石のかたまりだからと言って、設置すればそれでオッケーというのはあまりに安易な考えです。そのような状況では、私たちはむしろ野外彫刻を持つことを反対すらするでしょう。「よく話し合った結果、美術作品を持つことを中止する」というそのことすらも、私たちの仕事なのです。モニュメントの変りに、そこがコスモス畑になっても、かまわないではありませんか。
 

アートの可能性

やみくもに置かれた野外彫刻のその場所が年月が経って荒れ果てても、そこがコスモス畑になる可能性は少なく、また今以上の野外彫刻がそれに取って代わる可能性も限りなく少ない。けれど、コスモス畑はいつかアートを、どんなかたちにしろ受け入れる余地を残しているし、私たちはその可能性をむしろ選択したいのです。つまり私たちのクライアントは野外彫刻を設置したいという行政である場合もあり、また、どうしてもそこにそんな彫刻を置いてほしくないという市民の場合もあるでしょう。オフィス・マッチング・モウルは、「アートを介したコミュニケーションの場」をすべて仕事の場所と想定します。

私たちのモットーは「充分なアフターケア」です。クライアント自らにもそれを要求しますが、私たち自身も仕事をしてギャラをいただいてそれで終わり、とは考えておりません。オフィス・マッチング・モウルが存続する限り、私たちは設置したアート作品の追跡調査をやめません。また、当面は季刊で発行予定の「モグラ屋通信」、「年次報告書」またこの「Office Matching Mole on the Web 」において、情報提供を続けていきます。その積み重ねがきっと実りあるものになると信じて。

現代美術をもっと親しみやすい環境の中で接してもらう――このことは「わかりやすいアートを提供する」こととはイコールではありません。私たちが提供していくことになるのは、現在一般に「難解だ」と言われているまさにその現代美術であり、それらを毒抜きしてファッショナブルにアレンジした現代美術もどきのデザインなどではありません。あくまでもクオリティを高く維持しつつ、けれど、それを難解だと思う見る側との溝をせっせと埋めてゆく土木作業の現場を担当するのが、オフィス・マッチング・モウルです。

私たちが届けるもの、それは、実際には作品であるかもしれません。けれど、あくまで私たちはアートの精神を届けていきたいと考えています。次の世紀に入る直前の現在、パブリックな状況でのアートは確実に見直しの段階に入っています。だからこそ、オフィス・マッチング・モウルは、今、スタートしたのです。 (1999年10月創業時の文章)

 
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