三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島
 

栗本百合子 展・制作記録

栗本百合子アーティスト・イン・レジデンス
2002年9月22日(土)〜10月18日(金)


弁天サロンの隣にある佐久島漁協 漁具倉庫は、佐久島の西地区に多くみられる、黒い板壁の木造建築です。昭和15年に建てられ、かつて盛んだった天草採りの集荷場や、ナマコ、モズク、ウニの加工場として、昭和40年頃まで現役の作業場として使われていました。現在は古い漁具がしまい込まれています。倉庫は間仕切りでふたつに仕切られていますが、今展では、海側の一室が作品化されました。
 
佐久島漁協集荷場は、東渡船場の東側にあります。海苔養殖が盛んだった昭和46年に、海苔の集荷場として建てられました。海苔の集荷場として昭和61年まで利用され、現在は、海老漁のための網などの補修や保管場所となっています。屋内は、三分の一くらいで仕切り壁によって区切られていましたが、展覧会のためにそれは撤去しました。ここからは、東に渥美半島、西に知多半島、遠くには紀伊半島を望むことができます。
 
八劔神社西側にある共勢(きょうせい)丸(まる)漁具倉庫は、昭和30 年代に、漁師の加藤忠之氏の漁具倉庫として建てられました。倉庫は2室に分かれていて、今展では、奥の小さな部屋が会場になっています。 倉庫は高床式で、八劔神社に面して正方形の小さな窓がひとつあり、その特徴が作品の中で活かされています。
 
 
制作記録/第3会場 佐久島漁協集荷場を中心に

佐久島漁協集荷場の、天井高4メートル50までの広い壁面へのペンキ塗りには、約3週間のアーティスト・イン・レジデンスの多くの時間を割くことになりました。ペンキ塗りの疲れを癒してくれたのは、集荷場の窓から見える素晴らしい風景と、心地よい潮風でした。
 
 
制作に必要な材料が、車を乗り入れることのできない浜辺にある時には、島民に船を出してもらい、海から採取に出かけました。ひたすらにペンキ塗りの日々の中、海の上で過ごすひとときに、疲れは吹き飛びました。
 
 
 

栗本百合子が佐久島に滞在した約3週間に、県内各地から、のべ72名の制作ボランティアが駆けつけてくれました。数日間滞在してくれたボランティアは、アーティストと寝食をともにし、制作の苦労と喜びを分かち合ったのです。栗本百合子が佐久島に滞在した約3週間に、県内各地から、のべ72名の制作ボランティアが駆けつけてくれました。数日間滞在してくれたボランティアは、アーティストと寝食をともにし、制作の苦労と喜びを分かち合ったのです。
 
 
生のベニヤ板がそのまま貼られた集荷場の壁は、2度の下地剤を塗ることが必要でした。仕上げのペンキと合わせて、壁面全体を都合4回、塗ったわけです。気の遠くなるような作業でした。
 
 
2度目の下地塗りが始まった佐久島漁協集荷場です。最終状況がまだ見えない状況ですが、それでも、ボランティアのみなさんは、もくもくとペンキを塗り続けてくれました。この時、他の会場でも作業が並行しておこなわれています。
 
集荷場には、海に面して大きく開いた扉、床に空いた穴などがありました。それらのすべては、制作の過程で作品として姿を変えていったのです。
 
2度目の上塗りがおこなわれている佐久島漁協集荷場。はじめてこの場所に足を踏み入れた時とは、見違えるような光景になりました。けれど、この場所の本当の姿は、写真では伝えることができません。完成した作品では、時間が過ぎていくこと、聞こえてくる波の音、海から吹く風までもが取り込まれています。それは、佐久島とアートの出会いの場でもあります。
 
 
【制作ボランティアに参加してくださったみなさま】

尾野訓大・川崎正裕・田中桂・大川優・白村充(名古屋芸術大学)、高木志瑞子・花井佐代子・村松茉依(愛知県立芸術大学)、丹羽誠二郎・酒井敏子・日比野勝彦・森真理子・岡村健一・洞口功・上嶋直人・伊藤祥子・福田知佳・伊藤恵利子・堂端徹・吉嶋奈津紀(名古屋)、田村郷枝(丹羽郡)、佐竹鑑(春日井)、平野亜希(知多)、阿部未来(瀬戸)、平野今日子(安城)、松本祐子(刈谷)、河野光雄・早崎志保(岡崎)、田中亜由子(豊橋)
 
約3週間でのべ72名の方にご協力いただきました。心より感謝申し上げます。
 
 
【関連情報】
 栗本百合子展
 アーティスト・イン・レジデンス募集のお知らせ
 栗本百合子展 写真レポート
 同時期開催 『太鼓祭り』

            
展覧会会場
第2会場 佐久島漁協漁具倉庫/
タイトル:the middle warehouse(中倉庫)
 

第3会場 佐久島漁協集荷場/
タイトル:the large warehouse(大倉庫)
 

第4会場 共勢丸漁具倉庫/
タイトル:the small warehouse(小倉庫)

 
 
 

当初の佐久島漁協集荷場

作品の材料を船で採りに出かける作家とボランティアと島民


制作をサポートするボランティアのみなさん

制作開始から1週間たった集荷場

2度目の下塗りが始まった

集荷場の床の穴から、写生をする小学生の姿が見えた

制作開始から2週間たった佐久島漁協集荷場
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■主催: 幡豆郡一色町
■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会
■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル

頼りになるのは佐久島の海の男達
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