三河・佐久島アートプラン21 佐久島体験2003 祭りとアートに出会う島 木村崇人展 ― 佐久島で地球と遊ぶ ―
写真リポート
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佐久島漁業協同組合(海の風見鶏)/高橋岩次(現象の家)/崇運寺(ガリバーの目)/ 松本昭次、高橋武治、筒井なみ、鈴木和典、藤井善勝、松本梅香、高橋慶太、筒井昭一、藤井昇、筒井一三、加藤忠之、高須千浩、 近藤徹、石井利幸、藤井千代、藤井たよの、石井浩太(島と人) 【関連情報】 ● 『木村崇人展 ―佐久島で地球と遊ぶ―』 ⇒ ● 木村崇人ワークショップ 『地球と遊ぶジャイロのおもちゃをつくろう』写真リポート ⇒ ● 『眼と認識』 ―木村崇人作品『ガリバーの目』の問いかけ― 【同時開催】 ● 弘法巡り+アート・ピクニック2003 |
● 海の風見鶏 会場/白浜海岸
風見鶏はどうして風見鶏と呼ぶのだろう? 木村崇人は、あるとき、防波堤にたくさんのカモメが群れているのを見ました。数えきれないほどたくさんいたそのカモメは、みんな同じように風が吹いてくる方角を向いていました。そのとき、木村の頭の中で、はじめて「風見鶏という言葉」と、その「言葉の持つ意味」がひとつになりました。「そうか! 昔の人は、鳥が風の方角を向くという習性を観察して、それで風向きを知る道具に風見鶏という名前を付けたんだ」。知識と、自然の現象の関係が頭の中でぴったり結びついたとき、木村崇人の世界は広がりました。 それは、とても新鮮な感動です。生活の中で、ものごとの本質を忘れて、表面だけを見て理解した気になっていることはたくさんあります。「海の風見鶏」が、観察し、理解することで、世界は大きく広がるということに気付くきっかけになってほしい、と木村は考えています。 もうひとつ。海に囲まれて暮している佐久島の人たちは、普通の生活の中で、いつも風の向きを意識しています。それは、まるで風見鶏のようで、昔の暮らしの知恵が今も息づいていることに木村はとても興味を持ちました。作品「海の風見鶏」は、そのようにしてできました。 ● ガリバーの目 会場/崇運寺 もしも巨人になったら、どんな景色がみえるのだろう? 子ども時代のなつかしい場所を、大人になって訪れたとき「あれ、この木って、こんなに小さかったかな?」と思うことがあります。子どものころは、空まで届くくらい大きいと思ったのに。大人でも背の高い人、低い人があります。高い靴をはいてみるとわかります。なんだか景色が違って見える、って。 自分がいつも見ているものは、他の人にも同じように見えてるような気がするけど、本当は違います。 崇運寺の、西港を見下ろす境内にある木村崇人の「ガリバーの目」は、いつも見ているものを別のものに見せてしまう不思議な作品です。「ガリバーの目」から見える風景は、あなたが身長60メートルくらいの巨人になった時に見える景色です。普通に見た西港の景色と、巨人になって見た西港の景色。いつもなら、感じられないことを感じることができるかもしれません。 ●現象の家 会場/西集落空屋 古い空屋の中を探検しよう! ここは不思議な現象の家 ■潮の法則 玄関を入って土間からあがると、最初の部屋にシーソーみたいな不思議な作品があります。「潮の法則」というこの作品を、まず観察してください。たくさんのガラス瓶は傾いているけれど、横から見ると中に入っている水は水平になっていませんか? どうしてでしょう? 木村崇人は、「佐久島で海の水が干潮になっているとき、じゃあ、減った水はどこに行ったのか、考えたことがある?」とあなたに質問しているのです。 海の水の量は、いつも同じです。佐久島が干潮の時、どこか遠い国の海が満潮になっています。潮の満ち干きは、海の近くに住んでいる人にはあたりまえの自然の現象です。でも、その水の行き先のことはみんなあまり考えることはありません。佐久島という小さな島から、遠い場所のことまで知ることができるということを、この作品は私たちに教えてくれます。 ■光の法則 奥の部屋は、まっくらです。でも、そこに何かが見えますね? よく見てください。そこに見えるのは、ピンホールという現象を利用した「光の法則」という作品です。さて、この部屋と外を仕切る雨戸には、木の節目や、古くなって自然に開いてしまった穴がたくさんあります。「光の法則」は、穴の内側に大きなスクリーンがはってあるだけの、とても簡単な仕掛けです。 さあ、スクリーンの前で立つ場所を移動したり、背伸びしたりしゃがんだりしていろいろな角度で見てください。少し視点を変えるだけで、さっきまで見ていたものが違って見えるでしょう? ピンホールというのは、小さな穴から入った光が、さかさまになって穴の外の風景を穴の内側にうつすという仕組みです。あなたはカメラに利用されているこの現象を、実際に体験することができるのです。 ● 島と人(ビデオ作品) 会場/弁天サロン寄り合いの間 木村崇人の作品は、どれも「いつも見慣れているものでも、別の視点を通すことで、新しい発見がある」というものです。この作品は、木村崇人が、たくさんの佐久島島民にインタビューしたビデオです。佐久島に滞在して、木村は、佐久島の人たちから、いつも自分が持っているのと違う視点を感じました。潮の満ち干きや風の向きなど、島ならではの自然の捉え方です。 それは、島に生活してみないとわからない生活の智恵のようなものです。佐久島の人たちは自然と共存している。昔の人たちが、自然を観察することでより生活しやすくしようとしてきたことを、佐久島の人たちは今もふつうにしています。 木村崇人は、「いつも作品を通して伝えたいと考えていることを、佐久島の人たちは普通にやっている」と感じました。佐久島の人たちは作品みたいだ――それを、島外から来た人に伝えるために、このビデオ作品はつくられました。けれど、この作品は、おなじように佐久島の人たちに向けてつくられてもいます。自分たちの暮らしやその智恵を、ビデオというメディアを通して外側から見つめることで、また別の発見があるかもしれません。 (文責:オフィス・マッチング・モウル 内藤美和) 木村崇人展 鑑賞の手引き 会期中、弁天サロン・現象の家、東西渡船場にて無料配布(弘法巡り+アート・ピクニックMAP) |
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■ 2003年度全記録へ ■ TO HOME ■主催: 幡豆郡一色町 ■共催: 一色町大字佐久島・島を美しくつくる会 ■企画・制作: 有限会社オフィス・マッチング・モウル |
「海の風見鶏」の設置風景。干潮時を狙って海の中で奮闘中の木村夫妻 |
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