三河・佐久島アートプラン21
佐久島体験2011 祭りとアートに出会う島
佐久島弘法プロジェクト3
大学対抗リノベーション大会
写真リポート2
名古屋大学/恒川・太幡研究室 『対』
優秀作品賞 第一位
(同率)
大同大学/武藤研究室 『空海の心』
名城大学/生田研究室 『合』
優秀作品賞 第一位
(同率)
名城大学/谷田研究室 『記憶のハコ』
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学生チャレンジ企画
佐久島弘法プロジェクト3
大学対抗リノベーション大会
会期:
2012年2月11日〜3月31日
会場:島内8ヶ所
「対」
名古屋大学/恒川・太幡研究室
完全崩壊して材料も失われていたこの祠は、アーチ型のデザインと基壇で佐久島弘法の記憶を踏襲した。御影石のようにつややかに光るコンクリートの祠の周囲には、参拝者のための小さな椅子も作られた。
「空海の心」
大同大学/武藤研究室
祠の形状を曼荼羅に見立て、円と四角で構成。「我が心空の如く、我が心海の如く」という弘法大師の言葉を抽象的に空間化。素材は以前の祠のレンガを使い、佐久島オリジナル漆喰で塗装した。
「合」
名城大学/生田研究室
本体部分は、若干の修復をほどこしながら旧来のレンガ造りをそのまま使用。崩れ落ちた屋根は、佐久島に多い寄棟屋根を鉄で制作し、内部に光と風を取り込む構造とした。
「記憶のハコ」
名城大学/谷田研究室
本体部分は、旧来のレンガ造りをそのまま使用。メンテナンスを考慮して銅板のアーチ型屋根と一体化させた内装は佐久島の民家をイメージして木製にした。奥まった場所にあるためアプローチも制作。
今回、学生チャレンジ企画『弘法プロジェクト3 大学対抗リノベーション大会』では、「対抗戦」の名にふさわしく、最終的に8つの祠の中から優秀作品上位3作品を選出し、表彰した。選考に当たって「コンセプトが設計にどのように活かされているか」と「実際の作品の完成度」がポイントになりったが、アートプロジェクトとしてはどうしてもより後者に比重が置かれる結果となったように思う。
図面や、建築模型、テクニックを駆使して撮影した写真とは違う、リアル建造物の力が問われることとなった。そこにゴマカシは効かない。
選ばれた上位3つの祠の共通点、そして魅力はは「シンプルさ」だ。コンセプトもデザインも、素材もシンプルで、それでいて強かった。それらをクリアするのは結構ハードルが高い。上位三作品に関して、選考のアドバイスをしてくれた建築家の長岡勉氏は「バランスの良さ、破たんのなさ」を挙げていた。
上位三作品は、95年の歴史を持つ佐久島弘法の、次の95年(100年でもいいけれど)に耐えられる素材とデザインの強度があり、風景の中に魅力的に在り続けることができる可能性が高い考えた。佐久島弘法がすでに歴史であるように、新たな祠もまた歴史となることを想定して、3つの祠を選んだ次第である。
今回のように順位付けする場合、佐久島の弘法巡りを実際に体験する観光客や、或いは島民を対象に投票を行った場合、異なる結果が出る可能性も大きい。
しかしながら、祠が建てられて数カ月を経た今、定期的に学生たちの制作した祠を見ながら、やはり選考の結果は間違いないと改めて感じている。すでに、たった数カ月の時間の経過によって、当初の姿が揺らいでいるものもある。これは、建築家たちの制作した祠との大きな違いでもある。
強い雨が降り風が吹く、厳しい自然の営みの中で、自分たちの制作した祠が今、どんな姿をしているのか、本事業に関わった学生たちには時を置いて振り返って欲しい。建築をかたちづくるもののひとつ、素材としての「時間」に向き合うために。
(文責:オフィスマッチングモウル
内藤美和)