『知識の蜂の巣』は佐久島のアート・プロジェクトでは例外的に島外にある飛び地のような作品です。佐久島行き船のりばのある一色港に佐久島観光の窓口として開設された佐久島ナビステーションの中にあります。蜂の巣のように小さく区切られたスペースには、海の資料館、ライブラリー、茶室など公共施設的な要素がちりばめられていて、その中のギャラリーが『昼間の星』のサテライト会場です。

　ギャラリーには６点の小品が展示されました。作品は佐久島の浜辺で拾い集めたり、「いっこく屋」のデッドストック品が使われ、島の風景に溶け込むように設置され、環境も含めて作品とされる佐久島での展示とは異なり、白い空間の中で作品のみを鑑賞するかたちとなっています。そのことで、素材の材質や微妙な色彩が際立ち、作品の繊細さをより強く感じることができました。

　ギャラリーの小さく区切られた空間だけでなく、高い天井を活用して、壁の上部にも作品を設置するなど、空間を巧みに活用した展示も洗練されていて小品ながら見応えのある展示となっています。それぞれの作品タイトルも展覧会名称と呼応しており、繊細さとユーモアが同居する作品をじっくり堪能できる展示となりました。

（文責：オフィスマッチングモウル 　　　　内藤美和）


作品リスト

「星降るゴーグル」　2019年
ゴーグル、シーブラス、貝、プラスチック、ビーズ、樹脂

「惑星集め」　2019年
ビニール籠、地球儀、ボール、浮き、ガラス

「星明かりライター」　2019年
シーグラス、ガラス、ライターの一部

「明星の種」　2019年
ガラス、胡桃、ステンレス

「薄紫色の浜辺の鳥」　2019年
新谷海岸の砂、浮き、石粉粘土、金属

「新月のハイヒール」　2019年
ハイヒール、シーグラス、竹、 ガラス、ビーズ、まち針、石粉粘土